蒜山そばの館
ウッドデザイン賞 2023国際博覧会担当大臣賞

敷地面積 :2,027㎡
建築面積 :285㎡
延床面積 :271㎡
構  造 :木造+S
構造設計 :山田憲明構造設計事務所
設備設計 :ZO設計室

蒜山そばの館

蒜山そばの館

2020年に岡山県真庭市の蕎麦畑が広がる蒜山高原の麓に位置するそばの屋が焼失した。そのそばの館の再建計画に伴うプロポーザルに設計者として選定された計画である。自治体が運営する蕎麦店として、蕎麦を食べるだけでなく、蕎麦文化や地域の伝統にも触れられる場としたいと考えた。周辺には入母屋造りの伝統家屋や神社が多く見られ、その入母屋の屋根の下で人々が回り踊る大宮踊が無形文化財に指定されている。冬には雪や風を防ぐ雪囲いが入母屋屋根を囲うように現れる。建物は、蒜山らしい入母屋と雪の落下を防ぐために勾配を緩く抑えた雪囲いのような庇がぐるりと取り付く蒜山の風景を継承する構成とした。低い屋根の下には内外に渡る縁側空間を設け、蒜山の夏の心地良い気候や冬の白銀の風景を楽しむ場とした。

入母屋の屋根は、真庭市の産業である4枚のCLTパネルが互いにもたれかかり支え合う構造とすることで、大きな気積にも関わらず、小屋組みも柱も無いすっきりとした空間となった。庇部分は背後に連なる蒜山三座の山並に呼応するように、緩やかに高さを変えながら母屋に取りつき、下野が蒜山の風景をパノラマに切り取り、人と風景をつなぐ場となっている。

多くの客で賑わい、待ち時間が長くなる夏季には、縁側からそば打ちや石臼でそば粉を挽く様子を眺めることができる仕掛けを施している。店内では大宮踊のように1つの屋根の下に人々が集まり、周囲に広がる蒜山の山々の風景を眺めながら蕎麦を楽しむ、蒜山ならではの姿が見られるようになった。また、のれんや組子細工などの地場の工芸品も空間を彩る。刻々と変わる日や風の変化、四季の移ろいで変化する風景、訪れる度に異なった蒜山の文化や歴史を発見できる場となっている。