Saitama, Japan — 2020

朝霞の住宅

House in Asaka

埼玉県朝霞市、南に面した段状の住宅地。前面道路から一段上がった敷地は、独立した印象と開放感を同時に持ちながら、北側の擁壁がもたらす落ち着きと、西側に80年近く手つかずのまま残る更地——大きな「庭」のような空地——という、方角ごとに異なる表情を併せ持っていた。

建主は独身の若い男性。

将来の家族構成の変化に備えつつも、特別な要望の少ない慎ましい暮らしを望んだ。

空に開いたベッドルームで目覚め、緑を見ながら料理をし、

雨の日も気持ちよく洗濯物を干し、夜は星を見上げて湯につかる。

その余白から、隣家からの視線を遮る閉じたヴォリュームを東側に、擁壁と向き合う半屋外の屋根下空間を北側に、そして「庭」に向かって開かれた透明なガラスのヴォリュームを西側に配置し、性格の異なる3つの棟が寄り添うような住宅とした。

閉じた棟には、間取りを変えながら住み継げるようワンルーム空間としたリビング(1階)とベッドルーム(2階)を納め、ガラスの棟には縁側のように、家具のごとくキッチンとバスタブが置かれた。北側の屋根下は裏庭のテラスとして使いながら、将来の室内化も見込んでいる。道路との高低差が通行人とのほどよい距離をつくり、隣の空地の緑と空を目一杯に招き入れる。そんな何でもない毎日の断片が、向かいの畑からのお裾分けや、道を通るご近所さんとの何気ない会話とともに、この小さな家の暮らしを少しずつ豊かにしている。

Project Information

所在地埼玉県朝霞市
竣  工2020年4月
用  途専用住宅
敷地面積104.62㎡
建築面積50.03㎡
延床面積71.60㎡
構  造木造(在来軸組構法)
構造設計浜田英明建築構造設計
設備設計EMエンジニアリング
設計協力吉田昌平建築設計事務所
施  工深澤工務店
撮  影高栄智史